春蘭、寒蘭植え替え時の根のさばき方

◎展示会に出品する花付き株以外の苗は、毎年植え替えすることが上作のポイントです。
◎植え替えの目的は、株分け増殖と根をさばくこと、にあります。ここで、さばく、というのは根を切り揃えることをいいます

写真(1)写真(3)の春蘭は双方とも実生5年木で、スーパーKにて育てた兄弟木で良い根がたくさん出ています。(1)は昨年に約15cmくらいに根をさばいて今年育てた株で、(3)はさばかず、そのまま育てた株です。

(3)に比べて(1)は根が太く、葉も厚くハカマもきれいな状態で、花も付いています。

(2)(1)を、(4)(3)をそれぞれ株分けして根をさばいた状態です。

(5)は2年間毎年植え替えをしてきれいな根ばかりになった寒蘭です。これを(6)のように株分けし、根をさばいて植え込みます。

(7)は、(6)の株元のアップです。根が多く、バルブの下に用土を詰めることが難しいので、このように炭の小片をはさみこんでから植え込みます。スーパーKなら、このように根が密集していても比較的容易に隙間無く用土を詰めていくことが出来ます。

(8)は、根を傷めていた寒蘭をスーパーKで1年育てた苗です。きれいな新根が3本でて、古根の先が1cmほど黒くなっており、葉先に枯れ込みが見られます。(9)のように古根の傷んだ部分を切り、葉先を切り取ってから植え込みします。


※植え替えの時は(10)のように根の傷んだ部分や(11)のような枝根を切ることが大切です。これを見逃しておくと、その部分から菌が広がることになりかねません。その際は、(12)(13)のように継ぎ根(節)の部分で切るようにします。


◎ところで、なぜこのように根をさばく必要があるのでしょう。傷んだ根ならともかく、新しいきれいな根まで切るのはなぜかと申しますと、蘭は、根の先端部分、つまり伸びている半透明の部分がもっとも良く水や肥料などの栄養成分を吸収すると言われています。その割合は、70〜75%にもおよび、すでに根になっている部分はわずか20〜25%しか吸収しないのです。根の多い株は、そのまま植えると新根をおろす数が減ってしまい、栄養の吸収効率が悪くなります。根をさばいて新根をたくさん出させたほうが、結果的に上作につながるのです